ワンピースオブロックの凄さを解説 どんなブランドなのか





ワンピースオブロックというブランドがあります

滋賀県にある
アメカジのセレクトショップ
「フォーティーナイナーズ」の代表 小中儀明さん
という方が立ち上げたブランドです
→ワンピースオブロックHP

ウエアハウスを筆頭に
主にリーバイスのヴィンテージデニムをベースにした
「レプリカ」というジャンルがあります
レプリカではヴィンテージを「再現」する
という言葉が使われます

ワンピースオブロックでは
「レプリカ」「再現」という言葉を使いません
ワンピースオブロックのデニムアイテムは
「オリジナル」であり
作り手がヴィンテージから感じたものを「表現」する
そんな物作りを行っています

そんな昨今大人気ワンピースオブロックの魅力をお伝えさせていただきます

目次
・一人のニードルワークアーティストが1つの作品を縫い上げる
・ヴィンテージと同等の生産設備のファクトリー
・レプリカではない理由
・買いたくても買えない



・一人のニードルワークアーティストが1つの作品を縫い上げる

「コナーズソーイングファクトリー」
というファクトリーで
代表の小中さん自身が縫製をして
商品を生産しています

通常は縫製を行う職人は
「縫製職人」や「縫子さん」
と言われたりしますが

コナーズソーイングファクトリーでは
「ニードルワークアーティスト」
と呼んでいます

この名称には
コナーズソーイングファクトリーで製作される商品は
画家が描く絵がアート作品であるのと同じで
縫製されたジーンズらは
「作品」
であるという意味があります

コナーズソーイングファクトリーのニードルワークアーティストは
小中さんだけではなく
弟子もいます

1950年代以前のモデルを担当する
1st generation 小中さん

アメカジの黄金期といわれる50年代のモデルを担当する
2nd generation カオルさん

カバンや帽子、小物類を担当する
3rd generation マリさん アミさん
マリさんは66モデルのジーンズも担当しています

そして
凄いのが
一本のジーンズ
一着のジージャンを
一人が最初から最後まで一貫して縫う
ということです

数あるデニムブランドの商品では通常
縫製作業は分業性が普通です

ジーンズの種類にもよりますが
1本縫い上げるまで
10種類以上のミシンを使うと言われています

ジーンズは数ある洋服の中でも生産方法が特殊です
洋裁と言われるものの中でもジーンズは特殊です

ジーンズは多くの種類の大量のミシンのある工場で量産されるのが普通です
一人が全工程を縫うことは生産効率が最悪なのです

それ故に
他のブランドと比べ生産量が格段に少ないようです

そこまで拘って作られているのが
ワンピースオブロックの「作品」なのです




・ヴィンテージと同等の生産設備のファクトリー

ワンピースオブロック製品の特徴として
欠かすことのできないものが「ミシン」です

ヴィンテージジーンズをベースに作られたもので
生産方法を熱心に研究しているものは多いです

ワンピースオブロックもその一つなのですが
特に縫製に拘っており

コナーズソーイングファクトリーが
縫製に使うミシンにその特徴があります

そのミシンとは
ヴィンテージミシンです

コナーズソーイングファクトリーでは
ヴィンテージのようなジーンズを作るため
ヴィンテージジーンズが生産されていた当時に
実際に使用されていたミシンを使っています

ヴィンテージジーンズは
当然ですが
当時のミシンで縫製されていたわけです

ですがほとんどのデニムブランドで
生産に使用しているミシンは当時のヴィンテージミシンではありません

全くヴィンテージミシンを使用していないわけではありませんが
使用していても一部だけであったりというのがほとんどです

日本のミシンを使用している場合も多く
日本規格では縫い目のピッチがミリ設定ですが
アメリカ規格ミシンはピッチがインチ設定です

当然アメリカのヴィンテージジーンズは
アメリカのインチ設定のミシンで作られていて
これだけの違いでもジーンズの表情は大きく変わるようです

さらにヴィンテージミシンとなると
さらにマニアックな世界になってしまいます

分かりやすく言うと
ヴィンテージのようなデニム生地を織るのに
ヴィンテージの織機を使うのと同じ感覚です

ワンピースオブロックとしては
ヴィンテージのような作品を作るうえで
ヴィンテージミシンが必要不可欠だと考え
世界中から必要なヴィンテージミシンを集めたのです

誰もが考えつきそうなアイデアですが
問題はそのヴィンテージミシンを集めることそのものの
難易度が超ハードモードだということです

ヴィンテージジーンズの数が少なく高額なことと同じで
ヴィンテージミシンも探し集めるのは簡単では無いのです

しかも先述の通りジーンズ1本縫うためには10台以上のミシンが必要なのです
どれだけ大変かが分かると思います

たぶん考えた人は沢山いるでしょうけど
実際に行動して実現した人は
小中さんが初めてだったということなのです

さらに驚くことに
ミシンのセッティング、メンテナンス、修理、オーバーホールまでも
ニードルワークアーティスト自身でされているようです

ものすごい、やる気、根性、情熱、というものを感じないでしょうか?

さらには使用する糸やボタン、バックルなど
同じように拘り抜いたものが使われます

一つずつ解説してるときりがないですが
そんな感じで
ヴィンテージジーンズが生産されていた当時と同じ生産環境を持っているという
初のファクトリーがコナーズソーングファクトリーなのです




・ヴィンテージと同じ製法で作られている

生産設備がヴィンテージであれば
当然作り方も同じです

その代表として
「手曲げ製法」というものがあります
1950年代以前までは実際にジーンズの生産で行われていた製法とされています
手曲げ製法という名称も小中さんが名付けたようです

具体的に手曲げ製法とは
アイロンやガイドを一切使わずにミシン作業を行うことです

通常洋服を作る過程で
生地の折り返しや、形を整えるために
アイロンでクセ付けを行います
その方が縫いやすいですし
ズレたり失敗するリスクも少なく
仕上がりも綺麗になりやすいからです

ですがその工程を一切行わず
自らの手で生地を曲げて
ミシンを走らせて作ります

アイロンでしっかりしたクセ付けをしないので
アイロンがけしたものと比べると
ほのかに丸み感のある
ふっくらした仕上がりになります

そして
これにより生まれる
歪みや個体差も含めて
ヴィンテージの表現となるのです

この方法は
通常のジーンズ生産工場では行いません
個体差がでますし
品質が安定しませんし
なにより難しいので簡単には出来ません

ワンピースオブロックのアイテムは
それすらも許容して
作品を生み出しています



・レプリカではない理由

まず代表の小中さん自身が
かなりのヴィンテージデニム好きであり

小中さん自身が本当に満足できるデニムアイテムは
世に出回るレプリカと言われるようなものには無い
と感じたことから自身で作ることを決めたようです

ヴィンテージジーンズの中で
同じ時期に生産された
同品番のものでも

生産された工場の違い
生地の違いや
縫い方の違い
縫った人の違い
そういった「個体差」があります

こういう話はデニム好きの中でも
かなりマニアックなものですが

小中さんはそういう世界に魅了された人であり
ロマンを感じているようです

そういったヴィンテージの
超スーパーマニアックなディテールを
小中さんはかなり研究しています

その探究心は深く
単なる洋服の知識というよりも
歴史背景含め考古学的なものであるとも言えます

ヴィンテージデニム業界の中での繋がりも広く
実物のヴィンテージデニムアイテム
それも極上デットストックを何百本と
見て、触れて
そして考え抜いて研究してきた知見を
作品に表現しているのです

普通は単純に
「ヴィンテージがこうだから、こう作ってくれ」と工場に言って
工場は言われた通りに作る
といった感じなのを

実物のヴィンテージを勉強し尽くした本人が
その知見で細かなニュアンスまでもを
ミシンを使って表現する

真似(レプリカ)をするのではなく
ヴィンテージの魅力を自身の解釈、考えを持ち
独自のフィルターを通して
「表現」する

それはヴィンテージ同様
一つ一つ個体差もあり
同じものは無いとも言える
アート作品だと言える域の物作りです

これが
今までにあった「レプリカ」との決定的な違いです

TCBジーンズを筆頭に
最近流行のファクトリーブランドというものがあります

ワンピースオブロックもファクトリーブランドの一つではありますが
飛び抜けて特徴的な異端児であり

過去に無いほど
アーティストであり作り手である
ニードルワークアーティストにスポットの当たった
全く新しいデニム業界の形では無いでしょうか?



・買いたくても買えない

ワンピースオブロックの製品は
人気が上昇し続けている傾向にあり
欲しくても手に入れにくくなっています

それについては別記事も作りましたので是非見てください
→ワンピースオブロックの購入方法

さらに
ワンピースオブロック製品の価格の値上がりもあります

2021年の3月7日に
フォーティーナイナーズのリニューアルオープンが行われました
その際に
値上がりが発表されました

小中さんの作るSシリーズでは
パンツが45,360円から66,000円
ジャケットが49,500から74,800円(税込)
(人気のTバックサイズ46以上は78,100円)
に変更されています

カオルさんのM−54も同じく値上がりしており
それでも売れてしまう人気ぶりです

話題になって人気が出ると
当然欲しい人の数も増えるのですが
残念ながら生産量は増やすことができないので
価格を上げるのは当然でしょう

→人気のワンピースオブロック大戦モデルの解説

むしろ今後さらに値上がりする可能性もあるとも思います

今後の動きにも注目です