リーバイス501の進化





1900年台に突入し501は進化し続けます

1900年ごろまで
ジーンズはこんな感じの見た目でした

前回も少しお話ししましたが
超ハードワーカー向けのものでした

今回は
私達の知るジーンズの姿へと変化するお話しをして行きましょう




1905年
お尻の左側にポケットが1つ追加されました

ここに来てようやく
ファイブポケットのジーンズが完成しました

今までお尻の右側にしかポケットがなかった理由は
大半の人は右利きで、右のお尻ポケットはよく使うが
左側は使わない
不要なものを付けるのは無駄だという
機能優先のリーバイスはそう考えたのでしょう

またお尻の両方にポケットがあることで
左右対称の見た目になり
洋服としての美しさも向上しました

1922年
インディゴデニム生地の仕入れ先を
1877年から仕入れていたアモスケイグ社から
コーン・ミルズ社 へ 変更しました

デニム好きの人はコーン・ミルズという名前に馴染みがあるかもしれません
現在は社名が変更になりコーンデニム社となっています
アメリカの有名なデニムメーカーのことです
コーンミルズのお話はまた改めてどこかでさせていただきます

仕入れ先をコーン・ミルズへと変更した理由は諸説あるのですが
ジーンズの生産量が増えてきたことに伴い
アモスケイグがリーバイスの求める生産量や品質維持、納期などに対応できなくなった
デニムの品質がコーン・ミルズの方が高かった
などと言われています




コーンミルズの方が高品質で大量生産することが可能だったのでしょう

アモスケイグにとってリーバイスというビジネスパートナーを失ったことは大きかったでしょう
後にアモスケイグ社は無くなりますし
リーバイスみたいな超大口取引先に見放されたのはダメージが大きい、どころではないほどの影響だったのは間違いありません

実は1915年ごろからアモスケイグ以外にコーンミルズのデニムも仕入れて使いはじめていたらしく
リーバイス側も
「えっっっ!?コーンミルズの方がええやん!」
と思ったのでしょうね

そして同年1922年
ベルトループが付きます


時代の変化で
従来のズボンはサスペンダーで履くというものから
ベルトで締めてラフに履くスタイルも多くなってきたのです

「ベルトループが無いと困る」というお客の声に応えての変更でした
これにより、ベルトでもサスペンダーでも
履く人の好みの履き方で履けるようになりました

ベルトループがついてるが、サスペンダーボタンもついている
さらにはシンチバックもついているという
ヴィンテージファンから見るとこれ以上無い豪華な仕様になったのでした

1929年
これまで10ozデニムを仕様していましたが
コーンミルズが12.5ozのデニム生地の生産を開始します
これまで10ozが最強の生地だったが、技術向上によりもっと厚くて丈夫なデニムを生産できるようになり
それを使ったリーバイスはさらに他メーカーとの差別化をはかったのでした

1936年
レッド・タブが誕生します
日本で言う「赤タブ」のことである
この手の織りネームは以前からあったのですが
服の外側に付けるということが大変珍しいことで
おそらく世界初だと言われている

ズボンをベルトで履く人が徐々に増えたため
ベルトをしていると
せっかくのリーバイスのトレードマークである
ツーホースマーク入りのパッチが隠れてしまって
よく見えない状態になってしまうので
代わりになるパッと見てリーバイスだと分かる
目印を付け加えるために付けたのでしょう




1937年
コンシールド・リベット が採用される
日本で言う「隠しリベット」です
これは後ろポケットのリベットを生地の内側に打つことで
外側から見えなくする工夫のことです

お尻のリベットのせいで椅子や車のシートにキズが付いた
というクレームが多くなってきたことに対応してのことでした

つまり、それだけ様々なシチュエーションで多くの人がリーバイスを履く人が増えてきたという証拠でもあるのです
労働者に支持される作業ズボンではあったのですが、木樵や炭坑夫などの超ハードワーカー以外の多くのワーカーにもリーバイスが浸透していったのであった

ただこれだとパッと見、お尻ポッケットのリベットが無くなったようにしか見えないので
フラッシャーに改善を加えた
矢印で隠しリベットを打っている部分を示して
ちゃんとリベットで補強しているということをアピールしたのでいた

同じく1937年
大きな変更がもう一つありました
サスペンダーボタンの廃止です

これまで
ポケットが増えたり
ベルトループが増えたり
色んなパーツが追加されてきたリーバイスなのですが
これからは
色んなものが無くなっていくのです
なんだか寂しくもあり
洗練されたものに変化していくタイミングでもあり
そうして私達にも馴染み深いジーンズの姿へと徐々に近づいていくのです

話を戻しまして

サスペンダーボタンが廃止になった理由は
時代の変化で作業ズボンをサスペンダーで吊って履く人が少なくなったからです
使わないものを付ける意味は無いので当然の変更だとは思いますが

そこで優しさを見せるのがリーバイスです
なんと希望者にはボタンを付けるという対応をしていたのでした
リーバイス 優しいですね・・・

サスペンダーボタンは無くなりますが
なぜかシンチバックは残っていたのでした

そんなこんなで
1942年
シンチバックが廃止されます

ベルトで履く事が主流になっていたので
シンチバックはほとんど機能していなかった様です

無くなっても実用上困る人は
ほぼいなかったようです

そもそもサスペンダーで履くのが主流の頃も
シンチバックを使う人、使わない人に分かれるようなもので
改めて考えると絶対に必要なものでも無いと私は思うのですが
ズボンにはシンチバックがついているものだ
という風潮だったのだと思います

そういうことで
なぜかサスペンダーボタンが先に廃止になり
後を追うようにシンチバックも廃止になったのでした




その同年1942年
もう一つ大きな変更がありました

クロッチ・リベットの廃止です

このリベットが無くなるのです

日本で言う「股下リベット」のことです

この股下リベットが廃止になった理由も諸説あるのですが

一番有名なのが
当時のリーバイス社長
ウォルター・ハース・ジュニア が
焚き火をしている時
リベットが熱くなり
おチンチンにヤケドをする事件があって
そのことをきっかけに社長の一声で股下リベット廃止が決まった
という話です

コミカルで面白い、よく出来た話なのですが
これは半分正解、半分間違いであるというのが一番有力だそうで

もともと、「股下リベットが熱くなる」というお客さんの意見はちらほらとあったようです
社長も面白がってその話を聞いていたのかもしれないが
社長がたまたまキャンプファイヤーをしてるとき
その話をふと思い出し
自身で実験してみようという気持ちで
わざとリベットが熱くなる様な行動をしてみると
本当に熱く危ないと思ったのだ
という説です
私自身も本当にオチンチンをヤケドしたというのは
話を盛っていると思っていますが
なんにせよ面白いですね

この時点で
ほぼ大まかに言えば
私たちが見慣れたジーンズの形になったと言えます

どうでしょうか
お尻のポケットが1つの時から
みるみると変化していく様は

とても面白いと感じていただけると私も嬉しいです

そしてこれからも
リーバイス 501は変化を続けるのですが
その変化の中でも
最上級に興味深い時期があります
それは
「WW2」
第二次世界大戦 に影響をうけた501のお話しです

極限状態である戦争は
人間を変えると言われますが

良くも悪くも
ジーンズも変えてしまったのです

次回は
そんな戦争とジーパンのお話し
お楽しみに