西部と東部 ジーンズの違いとリーバイスのジッパーフライ





よくアメリカ西部とか東部だとか
広いアメリカをそんな分け方で呼んだりします

語弊を恐れず大雑把に言うと
西部=田舎
東部=都会
という感じになります

過去の記事で詳しくお話した通り
リーバイスは西部(サンフランシスコ)発の会社です
ゴールドラッシュの波に乗って
多くのワーカー達にリーバイスのジーンズを愛用してもらいました

当然ですが
田舎である西部のほうが力仕事をする人の数も多く
ジーンズを必要とする人も多かった訳です

対して
都会的な東部ではなかなかリーバイスのジーンズは受け入れられませでした
戦後にはジーンズがファッションとしても受け入れられるようになります
その頃にリーバイスも本格的に東部の人にジーンズを売り込みたいと思っていました

ですが
なかなか上手くいきませんでした

理由はいくつかありますが
主に
リーバイスの主力商品の501は
ボタンフライであったこと
シュリンクトゥフィットを売りにしていたこと
が挙げられます

西部の労働者からは絶大な支持があったのですが
ボタンが面倒、生地が縮む、という扱いづらいものとして認知されてしまったのでした




そんな中
LEE(リー)は東部の人たちに早くから受け入れられており人気がありました

以前のお話で紹介した通り
リーはジッパーフライと防縮加工デニムを
どこよりも早く取り入れたジーンズを発売していました

都会的でスタイリッシュな考えの東部の人達にも受け入れやすかったのです

そんな状況でリーバイスが東部攻略のために出した商品が
1954年に発売した「501ZXX」です
これは今までの「501XX」のボタンフライをジッパーフライにしただけのものでした
ですがこの501ZXXには問題があり
501XX同様、生地には防縮加工がされていないため
洗うとジッパーの噛み合わせが悪くなってしまうようなものでした

当然東部攻略の武器にはなりませんでしたが
なんと10年間も501ZXXの生産は続けられました

リーバイスはジーンズを売り出した最初からずっといままで
「シュリンクトゥフィット」を売りにしています
シュリンクトゥフィットこそリーバイスの象徴でありプライドとも言えるかもしれません

リーやラングラーはいち早く防縮加工やブロークンデニムという
最先端技術を取り入れてるにもかかわらず
シュリンクトゥフィットに拘り続けたのでした

ですが結局は1961年に
防縮加工デニムを使ったジッパーフライの
「551ZXX」を発売されることになりました
シルエットも501より細めになり

東部の人にも受け入れられることになりました

ですがジッパーフライの551ZXXが発売された以降も
リーバイスの一番人気、看板商品は
シュリンクトゥフィットの「501」なのです

シュリンクトゥフィットの利点は
洗って縮ませて自分の体に合わせることで
その人だけの唯一無二のジーンズにすることができる
という事です

その魅力が今だに語り継がれ
用途は違えど、多くのマニアが防縮加工のされていないデニム生地を好むのは
リーバイスがシュリンクトゥフィットに拘り続けたからなのかもしれません