「告白」清原和博 覚醒剤について レビュー






私は清原のファンでもなければ
野球ファンでもありません
しかしこの本を読もうと思ったきっかけは
覚醒剤というものに興味があったからです

華々しく活躍したスーパースターが覚醒剤や大麻など違法ドラッグに手を出すというニュースはよくあります
違法ドラッグを使用するのは悪いことなので、ニュースになると使用者は弁解の余地無く、容赦無く極悪人というジャンルに分類されます
それからの世間からのバッシングに私は違和感がありました
絶対にやってはいけないというのはどれだけ馬鹿でも誰でも分かっていることなのにやってしまうのは何故なのかが気になったので
この本でそういう心境が少しでも分かるかと思い手に取りました





よく分かりました

清原という野球選手は
野球選手を引退するまで
野球を通してしか幸せを感じなかったくらい野球に熱中していました
清原の性格はとても感情的で、その日のファンの雰囲気や試合の空気というプロ野球選手でしか味合うことのできない緊張感の中でのみ幸せを感じていたのだと感じました
コワモテのイメージとは違い人付き合いや人間関係というものがかなり苦手で、野球というものを通して感情を発散することができたのでしょう

多くの人に愛された理由は
溢れる才能を持ちながら
誰より純粋にホームランにこだわり
隠しきれない不安定で不器用な心を持った
松井秀喜やイチローなどと比べ完璧では無い人情味のあるスターだったからだと思います

清原は引退後
やることが無くなります
野球以外に夢中になれる趣味もなかったみたいです
妻と子供もいて人並みに家族のことも大切にしていましたが
これまで命をかけてやっていた野球が生活からなくなったことに喪失感があったようです

プロ野球選手の引退後
よくあるのが
試合解説の仕事や
コーチ、監督などですが
そういうのは現役時代に人脈を築いている場合に話が来るみたいで
人間関係が苦手な清原にはあまり話が来なかったみたいです
だからといって自分からお願いしに行くことも出来ず
喪失感を埋めるため夜に繁華街に呑みに行くようになり
売人と出会い
軽い気持ちではじめてしまい
辞めれなくなったということです

ドーパミンという幸せを感じる脳内物質があります
覚醒剤はそのドーパミンを通常ではありえない量を分泌させる作用があり
覚醒剤を使用した瞬間だけはとても幸せになれるらしいです
美味しいものを食べたり、セックスをしたりする時など人間の日常生活ででるドーパミンの量とは段違いにドーパミンが出て
一度覚醒剤を使用すると、美味しい食べ物もセックスも楽しいと感じなくなり「鬱」の状態になり
一生覚醒剤の誘惑と戦うという状況に清原は今います

華々しく見える選手生活の中でも
桑田とのドラフト事件や球団移籍
他にも様々な悩みや苦悩があったことが語られていますが
私が思うに清原本人は
そういう普通の人が経験しないような波乱万丈で紆余曲折な野球選手人生を隅から隅まで心のどこか楽しんでいたのだと思います
記録や成績、勝敗とか数字に残るものではなく
清原でしか経験出来ないようなド派手で刺激的な浮き沈みのある現役生活こそ清原の生きがいだったのではないでしょうか

解説やコーチの仕事も
清原からすると所詮はみんなやってるのと同じなのでしょう
刺激不足なのだと思います

これまで野球しかしてこなかった清原が
引退して選手ではなくなった喪失感は覚醒剤以外の何で埋めることが出来たのか
私には思いつきません