646ベルボトムのジーンズとヒッピーの歴史





戦後のファッションのなかで
ブーツカットやベルボトムジーンズは印象の強いものではないでしょうか

日本では「ラッパズボン」なんていう言い方もありますよね

70年代に流行したヒッピーブームの記憶がある人もいてると思います

ヒッピーと言われる若者が
フレアシルエットのジーンズを履き
タイダイ染めTシャツのような派手な服を着て
中には派手な刺繍やワッペンなどの装飾をする
長髪で ヒゲを生やしている

今見ると「ヤベー奴」だが
当時もそう思っていた人は少なくなかったでしょう

今回はヒッピーやベルボトムのお話をしていきましょう




まず裾広がりのフレアシルエットのズボンはフランスから流行したとされています

1960年代後半にフランスの若者の間でフレアシルエットのズボンが流行りました
これは海軍水兵の制服「セーラーパンツ」の影響でした
1969年にはパリのデザイナーである、イヴ・サンローランが
「シティ・パンツ」というズボンを発表してました
それは股上が浅く、腰回りはフィットしていて、大きく裾に向かって広がるベルボトムシルエットで
かなり先進的な形でした
その形のズボンは世界中に広まります

リーバイスは
ベルボトムジーンズ「646」を1969年に発売しました
さらに裾が大きく広がった「684」通称「ビッグベル」もあります


ちなみに
ブーツカットジーンズ「517」を発売したのは1971年

日本でも
ビッグジョンが1969年にベルボトムジーンズを
ボブソンも1971年にベルボトムジーンズを発売しました

こうして発売されたベルボトムの
501との1番の違いとして個人的に思うのは
明らかに「ファッション目的で作られた」ということです
デザインやイメージを含めて、作業着として生まれた501とはまるで違うと言えます

ジーンズが作業着とするなら
機能性をどう考えてもベルボトムのような極端に大きな裾の広がりは不要です
これまでのジーンズのイメージとは真逆に方向転換した
画期的なジーンズと言えると思います

ジーンズは作業着ではなくオシャレ着だ!!!
ということをはっきりと主張した時代の変化をも感じることができると思います

こんなベルボトムは
「ヒッピー」のファッションアイテムとしても大流行しました

まずヒッピーとは何なのか簡単に説明しましょう

戦後、アメリカでも段々と平和になったというのはなんとなくわかると思うのですが
それと同時に現代のような「大量生産・大量消費」の社会へと変わっていく時期でもありました
多くの事が効率化され豊かになる一方で
「人間が人間らしさを失っていく」と感じる風潮もありました
そこで
「ビートジェネレーション」や「ビートニック」と言われる
作家や詩人を中心とした集団ができ
自分らしく、人間らしく生きる、ということを強く主張し、活動していました
それが1950年代のお話です




ビートジェネレーションの一人、アレン・ギンズバーグの詩の中で
ビート・ジェネレーションを指す時の肯定的な表現として「ヒップスター」ということばがあり
それが「ヒッピー」の語源です

ヒップスターの意思を継ぐ後継者
ヒップスターの次の世代
というような意味で
1960年代、ヒッピーという言葉が生まれました

ですがなんとなく学問的なイメージのビートジェネレーションとは異なり
ヒッピーは
奇抜なファッションで、大麻や覚醒剤などのドラッグを使っているような
「アウトロー」なイメージがあります

ヒッピーの思想で「自由」「平等」「博愛」ということが挙げられます
よく言う「ラブ&ピース」とはここからです

変化する時代に戸惑い
愛や自由を感じにくくなった時代でもあったのでしょう

見た目にも奇抜なヒッピーは
一部からは差別的な対象になっていました

有名な映画で「イージーライダー」
があります
ヒッピーが自由を求め旅をする話です
最後はすれ違った保守的なアメリカ人に銃殺されてしまいます

良くも悪くも目立つ存在であったのは間違いなく
日本のファッションにも絶大な影響を与えました

日本でもヒッピーファッションをした若者を
70年代によく見たことがあるのではないでしょうか!?